【春草展】ジュニア鑑賞ガイドの紹介

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菱田春草の特別展開会まで、残り2週間となりました!
明日9/27から10/8まで、美博は臨時休館となります。春草展準備も大詰めです。

 

さて、本日は今回の春草展に合わせて作成した、ジュニア鑑賞ガイドを紹介いたします。

地域ゆかりの作家の大回顧展、この機会にぜひ春草の名画に出会ってほしい!という思いから、作成することとなりました。こちらは、飯田下伊那の全小中学生へ配布しました。

春草の名作7点と、春草の制作について、春草の生涯、と盛りだくさんな内容をコンパクトにまとめています。A5サイズ、全8ページのリーフレットです。

当館の展示デザイン担当職員にお願いして描いてもらった きくじどう が、それぞれの作品の見どころを教えてくれます♪

 

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本ジュニア鑑賞ガイドは何層にも学びの機会のきっかけを得られるもの、を目指しました。

まず、作品と向き合い楽しむために、「じっくりみよう」「かんがえよう」「ことばにしよう」の3つのプロセスを踏むことができるガイド文や問いがあります。次に、それらのプロセスを経たのちに読む、作品の簡単なお話や当時の春草の説明を載せています。

これによって、子どもたちが、1人でも自分自身の目で見て、感じて、言葉で表現する活動、(可能であればその表現を他の人と共有する活動)、そして作品について知る活動、を自然と流れでできます。さらに、作品について知った上で作品と向き合いもう一度感じる活動へ繋がります。作品と自分の対話、作品を介した他者との対話、そして作品と新たな自分の視点との対話、と何層にも学びの機会を得ることができる仕組みです。

それぞれの作品と出会うきっかけについては、「色や形に注目」「描き方に注目」「身体的な共感」「物語を想像する」と様々な切り口をちりばめ、後半は複合のものにすることで、作品の魅力を感じるポイントは多様であることを感じてもらえるものを目指しました。

問いについては、絶対的な事実・正解があるものではなく、子どもたちの自由な発想を許容し、どのような意見も作品の本質に集約できるように設定しました。

 

本来であれば、展示室で実際の作品をみながら学芸員が解説をしたり、子どもたちの質問に答えたりしながら、対話を通して作品を鑑賞できる機会を設けたいところです。しかし、感染症拡大に伴い、当館では、展示室でのギャラリートークを控えることにしました。静かに、でも最大限作品を味わう手助けをなにかできないか、と考えた時に、個々で鑑賞をするのに適している鑑賞ガイドに至りました。

また、短い会期の中で多くの学校に来ていただいた時に、少ない学芸員では対応しきれない、という事も懸念されます。そのため、各作品のポイントをおさえたジュニア鑑賞ガイドをすべての学校へ配布することで、主に事前学習に、さらに来館時の補助教材に、活用していただければ、と考えています。

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展覧会会期中、ご希望の方には受付にてお渡しできます。ご来館のお子様、そして大人の方も是非、お手にとってご覧ください。春草について知り、春草の名画に親しむ一助となることができたら幸いです。

(美術部門 加納向日葵)

最近の柳田事情…

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近頃、世間で「柳田国男」の名をよく耳にするのは私だけでしょうか。某局のラジオでは柳田の「故郷七十年」の朗読が放送され、某ゲームにも文豪として登場するとか。

柳田国男は元々松岡国男と言い、飯田藩士の柳田家に養子入りしてから柳田姓を名乗ります。今年は養子入りした明治34年(1901)から120年です。

美博のすぐ側にある長姫神社の灯籠には、「柳田国男」の名前が刻まれています。
この灯籠は、柳田が養子入りした明治34年に建てられたものです。

美博の敷地には柳田の書斎を移築した柳田国男館もあります。この機会に柳田国男について深く知るのはいかがですか?

(民俗担当)

菱田春草《雨中美人》(未完成)が飯田市有形文化財に指定されました!

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令和3年9月17日、飯田市に新たな有形文化財が登録されました!

飯田出身の日本画家、菱田春草の未完成作品《雨中美人》です。

 
菱田春草《雨中美人》(未完成) 明治43年

 

和傘をさした女性たちが、談笑をしながらゆっくり歩みをすすめている様子が描かれています。ほとんどがまだ下書きの状態で、一部着彩を進めたところでとまっています。

この屏風は、明治43年、第4回文部省美術展覧会(文展)に出品するために制作をはじめました。
前年度の第3回文展の際に、《落葉》を出品し、世間から高く評価された春草は、さらに新しい日本画の表現を目指してこの屏風作品に挑戦しました。暑い夏の日に妻の千代にモデルとなってもらいながら、様々なポーズと角度で和傘をさした女性のスケッチや小下絵を描き、時間をかけて準備しました。そして満を持して本制作に取り掛かったのですが、着物の色が思ったようにいかず、中断してしまいました。
しかし文展には何か作品をださなければならない、提出期限も迫っている、そんな時に、これまでの研究や経験を注ぎ込んで集大成のように描いたのが《黒き猫》でした。

《雨中美人》の過程があったからこそ、《黒き猫》にたどり着いた、という点でもとても意味のある作品ではありますが、《雨中美人》の素晴らしさはそれだけではありません。
未完成ながら、展覧会出品をめざして春草が描いていたこと、制作の過程が明らかなこと、晩年の春草が目指していた新しい日本画の姿を推測できるとても貴重な作品です。

また、日常の幸せな一場面をきりとったことや、女性らしい朗らかさやしなやかさを表現していること、顔が見えているのは一人だけでも女性たちの立ち姿から楽しく談笑している姿を想像できるその表現力、そして人物の配置や和傘の丸などの幾何学的な構図の面白さや新しさ…
挙げるときりがないほど魅力が詰まっている作品です!

《雨中美人》は、令和3年10月9日から開催の没後110年特別展「菱田春草 -故郷につどう珠玉の名画-」に展示予定です。

春草の制作への熱量や繊細な筆づかいを感じたり、
完成していたら着彩は、背景は、雨の表現は、そして日本画の現在は、どうなっていたのだろう…?と想像をしてみたりしながら、ご覧ください。

 

(美術部門 加納向日葵)

9月9日は重陽の節句です❁

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9月9日は五節句のひとつ、重陽の節句です。菊の節句とも呼ばれ、無病息災や長寿を願う日です。菊は古くから邪気を払い長寿の効能があると信じられていました。

春草の作品にも、菊にまつわるものがあります!


菱田春草《菊慈童》
明治33年 飯田市美術博物館蔵

当館所蔵の長野県宝《菊慈童》です。長寿のおめでたい画題として知られている菊慈童を、山の深さや時間の流れを感じる景色にぽつんとひとり配する構図から、春草が独自の視点で物語をとらえて描いたことがわかります。

この作品では、輪郭に線を使わず、色を重ねたりぼかしたりすることで空気を描く、当時の日本画において革新的な描き方を用いました。「朦朧体」と批判をうけますが、山の奥深さや神秘的な空気を描くことには成功しています。

 

10月の特別展で展示予定なので、ぜひご覧ください。
菊に無病息災と長寿の願いをこめて、穏やかな一日をおすごしください。

 

(美術部門 加納向日葵)

春草展特集が[広報いいだ]に掲載されました!

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長野県飯田市の広報誌、「広報いいだ」の2021年9月1日号の特集ページに、10月の特別展の特集記事を掲載していただきました!

 

表紙には、今回展のメインビジュアルをつとめて下さっている、重要文化財《黒き猫》が。

広報いいだの本号では、重要文化財《黒き猫》の誕生秘話を紹介しています!《黒き猫》が完成するのには、飯田市美術博物館が所蔵している未完成作品たちが大きなカギを握っていたとか…!?

 

さらに、春草と故郷飯田の関わりのエピソードや、春草が生きた時代を感じることができる飯田丘の上春草探訪MAPなど、飯田ならではの視点で春草にせまっています。

特集のページ以外にも、「菱田春草没後110年特別展 関連事業」として様々な行事が紹介されています。

ぜひご覧ください!

 

広報いいだweb book版
https://www.city.iida.lg.jp/book/list/book515.html

 

(美術部門 加納向日葵)

【予告】菱田春草の特別展を開催します!

ブログ 今日の美博

 

本日、美術博物館のホームページにて、今年の秋に開催予定の特別展

【没後110年特別展 菱田春草 -故郷につどう珠玉の名画-】

の情報を公開しました!

令和3年(2021年)は、飯田出身の日本画家 菱田春草(1874~1911)の没後110年という節目の年にあたります。

故郷にある飯田市美術博物館では、これを記念した特別展を開催します。春草の名画が日本各地から集まる、美博開館以来最大規模の特別な春草展となる予定です。

詳細はホームページの[開催中の展示と予告のご案内]をご覧ください。

 

また、9月は春草と縁の深い月です。9月中、展覧会の情報と合わせて、春草のことを今よりちょっと知ることができるような話を、時々ご紹介します。

 

(美術部門 加納向日葵)

 

 

月遅れの七夕☆彡

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七夕は7月7日の行事ですが、南信州ではひと月遅らせて行うことが多いようです。
それを「月遅れ」と言います。
月遅れは、旧暦(月の満ち欠けをもとにしたカレンダー)の季節感にできるだけ近づけるための一つの工夫です。

今日は美博のあちこちで七夕飾りが見られました。


先週は七夕飾りを作るワークショップも行われ、中にはこんな短冊も。


早く収束することを七夕様に願うばかりです。

(民俗担当)

自然展示室入り口パネルを8月版に更新しました!

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月替りで更新している展示室入り口パネル。8月のテーマは夏の畦を彩る花々」です。

かつて信州では、夏の土手にたくさんの野草が咲き、ゴマシジミやスジグロチャバネセセリ、コキマダラセセリなどのチョウたちが見られました。

土手を管理するお百姓さんたちは、生えてほしい好みの植物を刈り残すようにしていましたので、8月の土手は、オミナエシやワレモコウ、キキョウなど、お墓などに飾る「盆花」がたくさん咲きました。

伊那谷では、いまでもそのような土手に行きあうことがあります。
土手に咲く花々の中に、農村の「人と自然の
向き合い方」が透けて見えて、田舎っていいなぁって気持ちになります。


今回のパネルは、美博のスタッフで、自ら1町歩の田んぼを作る百姓でもある米山富和が作成しました。

四方圭一郎(生物担当)

丘の上の「津島様」

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飯田の市街地、丘の上で「津島様」の行事が行われていました。
各町ごとに津島神社のお札を祀った祭壇を作り、神事などを行っています。


この行事は、「祇園祭」として飯田藩士の日記にも出ており、城下町の面影を伝えています。
慌ただしい日々のなかで季節を思い出し、少しほっとしますね。

(民俗担当)

特別陳列の準備中ー仏さまを運ぶー

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17日から開催する特別陳列の準備を進めています。
今週は、資料をお借りする「集荷」という作業を行いました。
ここでは仏像を集荷する様子の一端をお伝えします。

まずは資料の状態を確認します。

次に仏像を梱包し…

そして箱に納めます。

作業の緊張感が伝わってくるでしょうか?