5月25日■文化講座「人知れぬ海のいのちー自然を生きる漁師の心意ー」(要申込)

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日 時:令和7年5月25日(日) 午後1時30分~3時00分

講 師:川島秀一氏(東北大学災害科学国際研究所シニア研究員)
会 場:飯田市美術博物館 講堂
定 員:60名 ※予約先着順(受講料無料)
受付開始:申し込み受付中~電話(0265-22-8118)にて申し込みください

【内容】
漁師が持つ知恵や漁村の社会を通し自然環境と、人々の暮らしとの関係を考えます。

 

PDFチラシ→文化講座チラシ

5月18日■田中芳男と国際博物館の日 展示観覧無料

インフォメーション トップニュース

 「国際博物館の日」は、博物館が社会に果たす役割を広く知ってもらうことを目的として、1977年に国際博物館会議によって設置された記念日です。
一方で、飯田出身の田中芳男は日本における博物館文化の発展に大きな功績を残した人物として知られています。田中芳男の博物館設立への情熱と行動力は、「国際博物館の日」の精神にも受け継がれています。
飯田市美術博物館では、5月18日(日)を「田中芳男と国際博物館の日」と定め、この日を展示観覧料無料とし、市民の皆様が気軽に美術博物館と親しめる特別な日としています。

無料対象の展示

・菱田春草常設展示「第52期 出発-画家を志して-」          菱田春草記念室
・コレクション展示「館蔵品で見る工芸のいろいろ」             展示室A
・コレクション展示「横井弘三・須山計一・正宗得三郎 それぞれの洋画」  展示室B
・文化トピック展示「修復を終えた田中芳男関係資料」と常設展示     文化展示室
・自然トピック展示「ギフチョウと伊那谷の春のチョウ」と常設展示      自然展示室

この機会に、ぜひ足をお運びください。

【国際博物館の日】(文化庁ウェブページ)

企画展準備日誌 その4 サンプクリンドウ

ブログ 今日の美博

企画展 高山植物と高山昆虫からたどる
南アルプス博物学の120年

会期:2025年6月7日(土)〜8月31日(日)

 

高山蛾と同じように、9年間の調査でたくさんの高山植物も撮影しました。
とりわけ、南アルプスの固有種や希少種は撮影しておきたくて、撮影を目的に初夏や秋にも山行を重ねました。

思い出深い種類はいろいろありますが、今回はサンプクリンドウを紹介します。

サンプクリンドウは、南アルプス中部にある三伏峠の名前を冠した小さなリンドウです。
1938年(昭和13年)に三伏峠で発見され、その名前が付きました。

私がこのリンドウに始めて出会ったのは、2018年9月の北岳でした。

台風が近づき時おり雨が降るような不安定な天候でしたが、自生地にたどり着いたころには雲の間から陽光がさし始め、たくさんのサンプクリンドウが出迎えてくれました。
他にもアカイシリンドウやヒメセンブリなどの珍リンドウたちが点々と咲いており、時間を忘れてシャッターを切りました。

その晩は山小屋に泊まり、目的の花に出会えた感動を味わいながら酒を酌むつもりだったのですが、山頂付近で出会った登山者から、台風の影響で登山口までのバスが明日以降計画運休するという話を聞いて、急遽予定を変更して下山することにしました。

登山口まで一気に駆け下りなんとかバスに間に合って、結局日帰りで飯田へ戻って来ることになってしまいました。

この台風は翌日四国に上陸し、近畿地方に大被害をもたらした、あの台風21号でした。
山小屋に泊まっていたら、大変なことになっていたかもしれません。

サンプクリンドウには、その後、塩見岳から間ノ岳への稜線や荒川岳でも出会いましたが、名前の由来となった三伏峠では見つけられていません。
三伏峠の草原の片隅で、いまでも人知れずこの花が咲いているといいなぁと思っています。

四方圭一郎

 

「南アルプス博物学の120年」企画展準備日誌 その3

ブログ 今日の美博

企画展 高山植物と高山昆虫からたどる
南アルプス博物学の120年

会期:2025年6月7日(土)〜8月31日(日)

南アルプスの高山帯で、博物学調査が行われるようになってから約120年。
現在、飯田市美術博物館で行っている高山蛾の調査も、博物学的登山の延長線上に位置づけることができます。

登山道や山小屋が整備され、登山道具もかつてと比べ物にならないくらい進化していますが、それでも高山帯まで調査道具を背負って登っていかなければならないことは、今も昔も変わりません。

そんな現代の調査でも、地味ですが興味深い事実が明らかになってきています。
今回は、その一つを紹介しましょう。

南アルプス固有種の高山蛾で、タカネツトガという種がいます。
他の山域では全く見つかっておらず、南アルプスの高山を代表する昆虫の一つです。

サイズは15mmくらいの小さな蛾で、1958年に新種として記載されました。
こんな蛾です↓

この蛾は南アルプスの北部(北岳や間ノ岳)や中部(塩見岳や荒川岳)あたりでは個体数も多くよく見られますが、南部(上河内岳や茶臼岳)では、何度調査をしても見つかりませんでした。どうも分布南限が聖岳の南斜面にあって、そこより南側の高山帯には分布していないようなのです。

翅(はね)があって飛んで移動できる昆虫なのにとても不思議な気がしますが、よく調べられている高山チョウでも同じような例があります。
なにか我々が気がつかない障壁があるのかもしれませんし、移動分散の能力も思っている以上に小さいのかもしれません。

 

企画展示では、こんなふうに現代の博物学調査でわかってきた事柄も、パネルや標本でわかりやすく紹介していきます。

企画展担当 四方圭一郎

「南アルプス博物学の120年」企画展準備日誌 その2

ブログ 今日の美博

企画展 高山植物と高山昆虫からたどる
南アルプス博物学の120年

会期:2025年6月7日(土)〜8月31日(日)

南アルプスの学術登山は1900年代から盛んになってきました。
長野県では1902年(明治35年)に信濃博物学会が立ち上がり、東京では1905年(明治39年)に日本山岳会が結成され、それぞれ雑誌を出版し始めます。

最初の頃の登山は探検の要素が強くて、案内人と歩荷を雇って草鞋履きで沢を遡り、道なき峰々を歩いていたようですが、その後の近代登山ブームによって多くの山域が踏査され、高山植物や高山チョウなどが次々と発見されていきました。

 

 

 

 

 

 

 

飯田市美術博物館には、上の写真のような大正6年8月5日に赤石岳で採集された高山植物の標本が保管されています。
普通のサイズのさく葉標本と異なり、葉書サイズで作成され、ラベルには科名種名が記されていることから、研究用に作成されたものではなく、教育用に作られたものではないかと思っています。

文献を調べてみると、師範学校を含む中等学校に博物標本をそろえるため、明治45年ごろから教員による標本収集が開始され、大正2年には県の予算化がなされたとされています。
少し時期はズレますが、この標本はそのような教育活動の一環で作られたのではないかと思います。

展覧会では、この標本も展示します。
ぜひ本物をみて、当時の博物学の雰囲気を感じてみてください。

企画展担当 四方圭一郎

「南アルプス博物学の120年」企画展準備日誌 その1

ブログ 今日の美博

企画展 高山植物と高山昆虫からたどる
南アルプス博物学の120年

会期:2025年6月7日(土)〜8月31日(日)

2017年に「世界最南端のライチョウがすむ南アルプス」という企画展を開催しました。
それからはや8年。南アルプスの高山調査も10年目の節目を迎えます。そこで今年は、これまでの調査成果を紹介する企画展を計画しました。

かといって、僕が専門とする高山蛾だけでは地味に地味を重ねたようなマニアックな展示になってしまいますので、明治後期から大正、昭和初期に活発に行われた学術登山の成果を紐解きながら、現在も続く「南アルプス博物学調査」と位置づけて展示したいと思っています。

企画展開幕まで1ヶ月を切り、展覧会の宣伝に加え自分にハッパをかける意味も込めて、準備日誌として展示内容を紹介していきたいと思います。

「日誌」なのに毎日更新できない可能性も高いですが、できるだけ頑張りますので(弱気)、気が向いたらのぞいて見てくださいね。

チラシPDF⇒2025南アルプス展チラシ

企画展担当 四方圭一郎

 

5月18日■文化講座(見学会)「“日本の博物館の父”田中芳男とりんご並木」(要申込)

講座 トップニュース

日  時:5月18日(日) 9:30~11:30(小雨決行)
集合場所:飯田市美術博物館正面玄関前
参 加 費:無料
定  員:20人(先着順)
案  内:飯田・城下町サポーターの皆さん
申  込:5月2日(金)~5月17日(土)午前9時30分から電話(0265−22−8118)で受付

【内容】
「田中芳男と国際博物館の日」にちなんだ見学会です。現在開催中のトピック展示「修復を終えた田中芳男関係資料」を学芸員の解説付きでご観覧いただけます。その後、飯田・城下町サポーターの皆さんの案内で、りんご並木を散策します。このイベントでは、飯田の歴史や文化を楽しみながら、新緑の季節を満喫できます。

【見学コース】
美術博物館文化展示室 - りんご並木 - 田中芳男義廉顕彰碑・田中ビワ - 旧飯田役所付近(生誕地)
- 美術博物館

〈見学会の様子〉

令和7年度飯田市美術博物館「中学生造形教室」の追加募集ご案内

インフォメーション

今年度の「中学生造形教室」の募集を行ったところ、現時点で7名の応募がありました。定員を15名としましたので、数名追加の募集を行います。この講座は、小学生を対象とした「こども美術学校」の活動を発展させたものです。また、菱田春草を中心とした鑑賞の機会も設け、制作と鑑賞の両面を学びます。
制作活動は6月、7月、8月、9月に月1回の全4回とします。今年度の実施の内容は下記の通りです。


<参加条件>
飯田・下伊那の中学生で、すべての講座に可能な限り出席できること。
都合により参加できない場合は、美博担当までご連絡ください。別の日に実施出来る場合もあります。

<定員>
15名程度(1クラス)
応募人数が定員を超えた場合、抽選により入学をお断りすることがあります。

<受講料>
年間1人600円(画材、材料などの購入費用)
受講料は、第1回にご用意ください。

<開校日時>
6~10月に全4回の活動。時間は午後1時30分〜4時。

①6月8日(日)版画(多色刷木版画)
②7月5日(土)  絵画(日本画の絵具を使った自由表現)
③8月10日(日) 陶芸(花器をつくる)
④9月28日(日)墨と水で描く世界(菱田春草鑑賞教室)

〈菱田春草展示室親子鑑賞会〉
展示名  菱田春草常設展展 紅葉-静寂の時-《菊児童》を中心に

〈中学生造形教室作品展〉
美術博物館市民ギャラリーにて、中学生造形教室にて制作した全作品を展示します(こども美術学校作品展と同時開催)。
会期:令和8年2月6日(金)~2月23日(月)   会場:市民ギャラリー

〈追加入学の手続〉
(1) 追加申込が定員に達したところで募集を打ち切りますので、まず、電話(0265-22-8118)にて美博の受付に申込が可能がおたずねください。申込期間4月24日(木)~5月11日(日)
(2) 可能な場合は、FAXかハガキで申し込んでください。
住所、保護者氏名、生徒氏名(性別)ふりがな、学校名、学年、自宅電話、緊急連絡用携帯番号を記入。

〈入学通知〉
入学のご案内を5月14日までに順次発送します。

〈申込み宛先〉
〒395-0034
飯田市追手町2丁目655-7
飯田市美術博物館 「中学生造形教室」係 宛

※ ご不明な点がありましたら、次にご連絡ください。
℡ 0265-22-8118 Fax 0265-22-5252
飯田市美術博物館 中学生造形教室担当まで