柳田國男館
開催中の展示と予告のご案内

特別展 美術と風土
アーティストが触れた伊那谷展

2023年3月25日(土)~4月16日(日)
*飯田市美術博物館における会期。以降巡回予定。

本展は、近畿・東海・伊那谷などで活動してきた美術館の学芸員や画廊主などで構成された実行委員会によって、同地で活躍する造形作家20名を選び、その作家たちに実際に伊那谷を訪れてもらい、そこからインスピレーションが得られた作品や、作家自身が選んだ作品を構成した展覧会です。作家と鑑賞者そしてそれらの仲介をつとめた者たちがお互いに交流を深め、新たなるものを生み出す一つの気風を作り出すことをめざすものです。伊那谷の飯田からはじまり、辰野・愛知碧南・京都・大阪豊中などの各館で巡回展示を行います。

美術と風土 アーティストが触れた伊那谷展

【出品作家(五十音順)】
一瀬大智・今井裕之・岩井晴香・海野厚敬
占部史人・奥中章人・梶川俊一郎・川島渉
坂井淑恵・柴田知佳子・中島麦・中谷ゆうこ
永原トミヒロ・西久松綾・野嶋革・野原都久馬
蜂谷充志・林繭子・宮田彩加・山田純嗣

主催:飯田市美術博物館(飯田市美術博物館会場のみ)・公益財団法人 きょうと視覚文化振興財団
後援:信濃毎日新聞社・中日新聞社・南信州新聞社・飯田ケーブルテレビ・飯田エフエム放送(いずれも飯田市美術博物館会場のみ)

【巡回一覧】
3月25日~ 4月16日:飯田市美術博物館

4月29日~ 6月4日:辰野美術館
6月16日~ 7月 7日:豊中市立文化芸術センター

7月16日~ 8月13日:白沙村荘 橋本関雪記念館
9月 5日~10月9日: 碧南市藤井達吉現代美術館

菱田春草常設展示 第41期

面白味を求めて
―春草の装飾表現―

2023年3月18日(土)〜4月16日(日)

会場:菱田春草記念室

明治7年(1874)に飯田・仲ノ町に生まれた菱田春草は、開設間もない東京美術学校(現東京藝術大学)へ進み、新しい日本美術の創造に生涯を捧げました。明治30年代には輪郭線を排除する革新的な画風「朦朧体」を試み、画壇に大きな衝撃を与えます。また40年代の装飾性を重視した画風は、日本画が進むべき道筋を示しました。腎臓を害して眼病に苦しみ、満36歳で夭折するという短い生涯でしたが、彼の活躍なくしては日本画の近代化はあり得なかったといえるでしょう。明治時代以降の画家では最も多い、4作品が重要文化財に指定されていることも特筆されます。

今期の展示では、春草の装飾表現に焦点を当てます。晩年の春草は《落葉》屏風を描くに際して「距離」の法則と「画の面白味」のバランスに苦心したと述べています。距離つまり写実性と、面白味つまり装飾性。このふたつの要素は、《黒き猫》において見事な調和を果たしました。琳派に範を取った装飾美と、西洋美術に倣った精緻な写実表現が織りなす、春草晩年の花鳥画の世界をお楽しみください。

主な展示作品


菱田春草《春秋》

明治43年 飯田市美術博物館蔵

コレクション展示

版画 ーイロとクロー

2023年2月4日(土)〜3月12日(日)

会場:展示室A

今回の展示では、当館の所蔵品や日夏耿之介コレクションから、版画作品を紹介します。

江戸時代、日本では浮世絵版画が隆盛していました。しかし明治維新により西洋から銅版や石版の印刷技術が移入され、浮世絵版画は衰退していきます。やがて明治40年代、洋画家の中から「自画・自刻・自摺」による創作版画の運動がスタートします。これは従来の絵師・彫師・摺師の分業ではなく、一人の作者が全てを行うことで芸術家の創造性を発揮しようとするものでした。こうして版画は再び注目されるようになり、以後は様々な版画家たちを輩出していきます。

版画は、インクを摺り取るという性質上、色彩にかかる比重が大きくなります。たとえば長谷川潔は漆黒の深みを求めてマニエール・ノワールの技法を研究し、オノサト・トシノブは明瞭な色面を求めてシルクスクリーンを試みました。本展では彼らがみせるイロとクロの世界をお楽しみいただきます。

コレクション展示

藤本四八 -画室訪問-

2022年12月17日(土)〜2023年3月12日(日)

会場:展示室B

藤本四八は、明治44年(1911)に飯田市松尾に生まれた写真家です。上京したあと広告写真家として活動をはじめ、昭和12年(1937)に「日本工房」に入社し、日本を海外に宣伝する雑誌のカメラマンとして活動し、戦地にも従軍しました。従軍から帰国し訪れた奈良で古仏に出会い、仏像写真を撮り始めます。戦後になって土門拳・入江泰吉らとともに仏像写真というジャンルを開拓し、昭和28年に『日本の彫刻』(美術出版社)で毎日出版文化賞を受賞しました。また、昭和40年に出版した『装飾古墳』(平凡社)で日本写真協会年度賞・毎日出版文化賞・アサヒカメラ年度賞を受賞しました。以後、仏像のみならず、日本の美や信仰をテーマにした写真集を次々と出版しました。

平成7年(1995)に、戦後に撮影されたほとんどのフィルムを作者ご自身から当館にご寄贈いただきましたが、今回はその中から、芸術家たちのアトリエを訪問し記録した写真を紹介します。これらは主に、藤本四八の兄・韶三が主宰した美術雑誌『三彩』に連載された「画室訪問」のために撮影されたもので、韶三がインタビューして訪問記を書き、四八が写真を撮りました。韶三は、『アトリエ』『画論』『みずゑ』『三彩』『古美術』などの美術雑誌の刊行に携わり、昭和の美術界の発展に出版界から寄与しました。作家たちを援助し交流を深めた藤本兄弟による訪問記は、昭和期の貴重な芸術家の記録といえるでしょう。

主な展示作品

藤本四八撮影《安田靫彦》

自然トピック展示
南アルプスのアンモナイト化石

会期:2023年1月31日(火)〜6月4日(日)
会場:自然常設展示室トピック展示コーナー

大昔の海に住んでいた生物「アンモナイト」。じつはその化石が、雄大な南アルプスの中で見つかります。
この展示ではアンモナイトの生態や進化にはじまり、南アルプスから見つかるアンモナイトを中心とした、化石とそれらを取り巻く人々の活動を紹介します。

人文トピック展示
りんご並木と田中芳男

―「りんごの町飯田」誕生―

会期:2023年3月15日(水)〜2023年6月4日(日)
会場:文化常設展示室トピック展示コーナー

昭和28年(1953)11月、飯田大火の再開発で造られた分離帯にりんごの苗木が37本植えられました。がれきで覆われた地面を掘り起こす作業でした。飯田東中学校の生徒たちによる「りんご並木」の誕生です。そこには「真っ赤なりんごが、太陽の光を受けて輝いているような町にしたい」というりんごに託した町づくりの夢がありました。
今年はりんご並木誕生から70年目の年。子供たちの夢は、「りんごの町飯田」という実を結びました。
飯田は、りんごと深い関わりをもつ人物の故郷でもあります。りんごの改良と普及に大きな功績を残し、また「博物館の父」とも呼ばれる田中芳男です。りんご並木と田中芳男を、りんごを視点に紹介します。

プラネタリウム天歩 Tempo

菱田春草コレクション

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