遠山郷土館[和田城]は、秋葉街道の宿場 和田の町をのぞむ和田城跡にあります。戦国時代、遠山地方の領主であった遠山氏は、ここに和田城を築いて本拠地としました。その歴史にちなんで、この施設は城のおもむきを表しています。

施設内では、遠山谷の歴史と、その中で育まれた遠山の霜月祭りや文化財などを展示・紹介しています。あわせて、伊那谷の祭りや童話を温かいタッチで描く北島新平さんの作品をご覧いただけます。

遠山郷土館 和田城

所在地 〒399-1311 長野県飯田市南信濃和田1192
電 話 0260-34-2355
休館日 毎週木曜日・年末年始(12月29日〜1月3日)・祝日の翌日
観覧時間  9:00~16:00
観覧料 大人 310円(高校生以上)
小人 100円(小学生未満は無料)
交 通 中央道・飯田ICから70分
JR平岡駅からバス25分
JR飯田駅からバス90分

展示内容(常設展示)

遠山の歴史と文化財

日本最大の断層―中央構造線に沿う遠山谷に人びとが住みはじめたは、今から約10000年前の縄文時代早期のことです。弥生時代のはじめには、稲作文化をたずさえてきた人びとがこの谷を北上しました。平安時代末期には江儀(えぎ)遠山荘が置かれ、中世には遠山氏が支配しました。江戸時代のはじめには幕府の天領になり、榑木(くれき)などが年貢として供出されました。そんな「遠山の歴史」を、各地から出土した考古資料を中心にして紹介しています。

また、遠山に伝わる中世の面(おもて)や鰐口(わにぐち)をはじめとした文化財を展示しています。

遠山の霜月祭

「遠山祭り」ともよばれるこの祭りは、冬至の前後の旧暦霜月に遠山谷の12箇所、13社で行われます(うち3箇所4社は現在休止中)。全国や地域の神々を迎え、湯釜を取り囲んで神楽歌をうたい、さまざまな舞がくり広げられます。聖なる湯を神々に捧げ、自らも浴びることで命のよみがえりを願うのです。本来は夜を徹しての祭りで、夜明けの時刻に数多くの面神が登場します。〈国指定重要無形民俗文化財〉

霜月祭面のうち南信濃分約200面のレプリカや資料などを展示しています。

北島新平の世界

北島新平は、1926(昭和元)年に福島県会津生まれ。1944(昭和19)に遠山の木沢小学校に赴任したのち、結婚して本籍を木沢に移します。以来、伊那谷の中学校で教鞭を執りながら祭りのスケッチや童話の挿絵を描いてきました。1971(昭和46)年に上京して挿絵画家として活躍、1995(平成7)年に帰郷し制作に励んでいます。

作品には多数の絵本などのほか、『ふるさと伊那谷童画の世界―北島新平作品集』(1983年)、『天竜河童―北島新平画文集』(1995年)、『楽しい美術かん』(2008年)があります。挿絵を提供した『カンナくずの笛』は1986年度のアンデルセンのメルヘン大賞を受賞。