企画展準備日誌 その17 キタダケヨトウ

企画展 高山植物と高山昆虫からたどる
南アルプス博物学の120年

会期:2025年6月7日(土)〜8月31日(日)

キタダケヨトウは、1959年に南アルプスの最高峰北岳で、高山蛾の第一人者 神保一義さんによって初めて採集され、その後1968年に3個体目が採集されて以降、まったく見つかっていない幻の高山蛾でした。
飯田市美術博物館の南アルプス調査では、この蛾の再発見が大きな目標のひとつでした。

世の中がコロナ禍で右往左往していた2021年7月。
季節はずれの台風とコロナの影響で調査日程が変更になり、美術博物館のチームは調査に参加できませんでした。

その時に、なんと 53年ぶりにキタダケヨトウ↓が採れてしまったのです! 


採集したのは蛾類学会の金子岳夫さん。その第一報を聞いたときは、再発見された嬉しさより、自分自身の手で採れなかった悔しさが勝って膝が震えたのを思い出します。

新たに得られた個体の斑紋やオスの交尾器を詳しく調べたところ、ヨーロッパの個体群と一定の差異があり、akaishialpinaという名前をつけて、蛾類学会会長の枝恵太郎さんと共著で新亜種として記載しました。

2021年以降も、南アルプスでの高山蛾調査は継続しています。
キタダケヨトウの最新情報は、ぜひ展示室でお確かめください!

【今日の展示室】
記念写真撮影コーナーの撮影台を設置しました。
A0サイズの写真のパネル張りが終わりました。明日展示室に設置予定です。

四方圭一郎

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