【春草展示第34期】ミニ解説④下村観山《稚児文殊》

菱田春草記念室 第34期展示美術学校での学び-春草の基礎学習-を開催しています!展示作品から1点、紹介します。

下村観山《稚児文殊》

春草と観山は、共に日本美術の革新を目指し切磋琢磨しあった仲でした。観山は、春草にとって年齢も美術学校の学年も春草の1つ上の先輩です。美術学校卒業後も、日本美術院で拠点を共にし制作に励みました。春草にとって長い時間近くにいた、画家仲間の一人です。

また、春草と観山の関係において欠かせないのは、春草の兄・為吉との関係です。為吉は、東京に暮らした頃は春草の生活の面倒をみていました。為吉の給料日になると、春草とその友人数人が為吉の帰宅を家の前で待っていたそうです。そして為吉の給料から、春草は1円札をもらい、友人たちとご褒美外食に繰り出したそうです。その友人たちの中にいた1人が、観山でした。
美術学校を卒業後、観山は画家兼同校の教員になりました。社会人になり、画家になり、学生時代にご馳走になっていた為吉へお礼を伝えるために1つの作品を描いて贈りました。まさにそれが、《稚児文殊》でした。

菱田春草記念室 常設展示 第34期 美術学校での学び-春草の基礎学習-は5月29日まで。画家・春草の始まりをぜひご覧ください。

(菱田春草記念室担当)

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