【春草展示第34期】ミニ解説②《牧童》

菱田春草記念室 第34期展示美術学校での学び-春草の基礎学習-を開催しています。

日本画の近代化を目指す東京美術学校では、特徴ある3つの基礎学習「臨画(りんが)日本や中国の古画を元にした手本を模写して、運筆法と伝統画風を学ぶ授業「写生(しゃせい)対象を正確に描く、西洋美術の写実法を学ぶ授業「新按(しんあん)独自に構想した画題を描く授業を設けられていました。


新按の課題で春草が描いた、《牧童》明治26年(1893)は、
[臨画の成果]狩野派らしい筆法 +[写生の成果]牛の毛並みに見る写実性と、空間表現
⇒[新按らしさ]いきいきとした墨線の表現から、無邪気な牧童の様子までも伝わってきます。
意匠や理想の表出を求められる新按の課題は、作品の構想を深める訓練となり、精神や情感、技術を兼ね備えた新時代の画家になるための準備になりました。
東京美術学校の、日本の伝統に西洋の技術を加えて新しい絵画を目指す学びは、彼の画業の核となったのでした。

(菱田春草記念室担当)

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