菱田春草幻の出品作「雨中美人」

雨中美人(右隻)

 

 

 

雨中美人(右隻)

雨中美人(左隻)

 

 

 

 

雨中美人(左隻)

 

田春草が1910年(明治43)の第4回文部省美術展覧会(文展)に出品を予定し、制作中に中断した屏風作品です。

草は千代夫人をモデルにスケッチを繰り返し、屏風に執筆し始めたところ、「着物の色が思う様に行かないと止めて」しまいます。そして急ぎ着手したのが《黒き猫》。わずか五日ほどで描き上げ、文展に出品したといいます。
つまり本作《雨中美人》は、《落葉》と《黒き猫》のあいだに描かれた幻の出品作なのです。

の作品、特別展「創造の源泉」の調査の際に存在を確認しました。元々は六曲一双屏風に描かれていましたが、12枚の各扇を屏風から剥がした状態で残されていました。全部で六人の女性が線描で描かれており、うち一人に彩色を施した段階で中断されています。

中美人についてはこれまで人物スケッチと下絵の一部しか知られていませんでしたが、この未完成作品の登場によって全体像がわかるようになりました。

 本作《雨中美人》は、特別展「創造の源泉-菱田春草のスケッチ」(3月21日~4月19日)で初公開いたします。
チラシPDF→創造の源泉

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