【春草展示第36期】ミニ解説④《富嶽》

7月30日から、菱田春草記念室 第36期展示 彩の魅力-春草の色彩表現-を開催しています。展示中の作品から1点ご紹介します。


菱田春草《富嶽》
明治41年(1908) 飯田市美術博物館蔵

輪郭線を用いない朦朧体の画風をとりますが、色彩の濁りはなく、色鮮やかな色彩が特徴の作品です。海には青色を点描でのせ、松のふちには濃い緑色を重ねます。米欧遊学後、印象派や色彩論を研究していた時期の特徴が表れた作品です。
本作は春草の弟・唯蔵の結婚祝いに贈ったもので、三保の松原と富士という伝統画題を描いています。縁起の良い、穏やかな風情を示しています。

菱田春草記念室 常設展示 第36期 彩の魅力-春草の色彩表現-は8月28日まで。春草の色の探求をぜひご覧ください。

(菱田春草記念室担当)

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