【自然】南アルプスの岩場に咲く

シナノコザクラ 

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南アルプスの山懐には、石灰岩の岩場が点在しています。幕岩、白岩、燕岩、光岩など、目立つ岩壁には、固有の名前がついていたりします。石灰岩というのは、恐竜時代に熱帯の海でできたサンゴ礁がプレートにのって運ばれ、日本列島に取り込まれたものです。南アルプスの多くの部分はこのような堆積岩によってできています。

石灰岩はカルシウム分が過剰で、乾燥しやすく崖を作りやすいなどの特徴があります。これは植物たちの生育にとってたいへん厳しい環境ですが、植物の中には、石灰岩地で特殊化した希少植物もたくさん見られます。

今回紹介するシナノコザクラもその一つで、湿った石灰岩の岩壁に張り付くようにして花を咲かせます。美しいピンクの花は遠目にもよく目立ち、南アルプスを代表する花の一つといっても過言ではありません。花びらは、ほっそりしたシャープなものや、丸みを帯びふっくらとしたものなど変化があり、見ていて飽きません。花の時期は5月中下旬です。

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南アルプスの石灰岩地には他にも特殊な植物がいろいろ自生しています。自然展示室トピック展コーナーの次の展示では、そんな植物たちを紹介する予定です。

自然展示室トピック展示「南アルプス石灰岩地の希少植物」
会期:2020年6月16日(火)~12月6日(日)

四方圭一郎(生物担当)

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