高士訪友図

制作年: 明治42年(1909)

材質: 絹本墨画

法量: 106.5 × 51.3cm

高士訪友図驢馬に乗る高士が、深山の楼閣にすむ友人を訪ねようとする場面を、墨色のみで描いた作品である。画面は山の稜線によって大きく三つに分割されており、山の深さや複雑さが感じられる。また目的地であろう楼閣も山のかげから姿を見せており、友を訪ねるという主題も明確なものとされている。

明治41年の春頃に春草は眼病におかされ、療養のために執筆を禁じられてしまう。この状況は病気が回復する同年末まで続き、その後に漸く執筆も許されるようになった。本作は明治42年、眼病が回復した後の制作とされるが、前景の岩塊に見られる斧劈皴などの筆法は41年前半の諸作によく見られる手法でもあり、眼病罹患以前の意識下で制作した作品と考えられる。