夜桜

制作年: 明治37年(1904)

材質: 絹本著色

法量: 72.9 × 49.5cm

備考: 飯田市有形文化財

夜桜霧に霞んだおぼろ月と、うっすらと浮かぶ桜の若木とを描く。朦朧体の効果が遺憾なく発揮されており、霧につつまれた空間や、上空からにじむ月の光が印象深い作品である。

本図は春草が米国で制作した作品と伝えられている。彼は明治37年2月に、岡倉天心や横山大観らと共に米国へ出航するが、この出発時に春草と大観は、尺八幅の絵絹を二尺七~八寸の長さに裁断し、これを画帖風に仕立てて持参したという。そしてこれを用いて制作にあたったため、彼らの米国での作品は、多くがこのサイズを基本として制作されている。