夕の森

制作年: 明治37年(1904)

材質: 絹本著色

法量: 44.5 × 60.0cm

備考: 飯田市有形文化財

夕の森明治37年2月、春草は岡倉天心・横山大観らと共に米国へ遊学する。そして同地で西洋の美術の実際を肌で体験しつつ、また5度にわたって展覧会も開催した。そして日本での悪評とはうってかわり、米国では高い評価で受け入れられている。

本図は、春草がこの米国において制作した作品である。夕日を背にうっすらと浮かぶ森林と、その上空を群れ飛ぶ鳥たちの姿を描く。滞米時における春草は、従来描いてきた歴史画や人物画といった画題ではなく、花鳥画や山水画、それも風景画的な様相を示す作品を多く手掛けている。これは日本と米国との文脈の違いに起因するものであろうが、ともあれ本図もこの系列に含まれる一点であり、夕闇に沈みゆく一瞬の光景を捉えた作品となっている。