1958年 徳島県徳島市に生まれる。
子供の頃は昆虫少年であった。中学2年の夏休みに沖縄へ昆虫採集に出かけ、そこで出会ったプロ写真家の仕事ぶりに感銘を受け、将来写真家の道を進むことを決める。
親にかってもらった「キャノンFTb」を使い写真に熱中する。高校生になる再び沖縄を訪ね撮影を行い、郷里で個展「南島・先島」を発表する写真少年になっていた。
写真家になるために大学は文化部広報学科に進む。広告関係の仕事に進むための布石である。1979年APA賞特選、80年JPS展銀賞を受ける。大学卒業と同時に事務所「楽園」を開設する。
1985年、写真展「RAKUEN」を発表し、木村伊兵衛賞を受賞する。その後。「地球の楽園」「楽園王国」「小さな楽園」などの楽園シリーズを発表している。三好の創作する楽園は、事実をストレートに表現するのではない。心に感じた被写体を一旦自身の中で熟成させて、三好流に表現する。その美しいフォルム、色彩は彼独自の感性で強く表現している。
『巡る楽園』は、今までの作風とは違い、三好自身がお遍路となり、巡礼を続け、その体験と感動を忠実に写真化している。当然であるが、それぞれの寺の因縁来歴を学び訪ねている。そこには単なる被写体としての興味だけではない巡礼者としての感動が写し込まれている。
巡礼路に展開する風景も単なる美しさだけで捉えるのではなく、神聖な風景として写し撮っており、仏像もまた「生きている仏像」、即ち信仰に包まれた仏像として撮り続け、ひたすら空海の教えを慕い、仏に接した。秘仏と対面する時の緊張、その感動に写真家ならではの喜びを味わうことができたという。
そして道中の無事を感謝し、高野山の金剛峯寺、奥の院に詣でて一冊の本にまとめており、今までの四国巡礼のドキュメントとは一味違い、日本人の心と信仰の関係を捉えた秀作といえる。よって第4回藤本四八賞に推薦する。
選考委員 田沼武能