▲目次へもどる
■ハーフ博物館−化石の宝庫−■


■急きょ立ち寄ることになったハーフ博物館

■三代にわたって基礎を築いた博物館

■ダイナミックな地層と化石の展示

■急きょ立ち寄ることになったハーフ博物館

 今日は専用バスで、シュツットガルトへの終日移動日という日程だった。ところがゾルンホーフェンへ誘ってくれた田中さんは旅行前からよく調べているらしく、途中に魚竜化石で有名なハーフ博物館があるから、ここへぜひとも行きたいという。化石フェアで必ずでてくるホルツマーデンの化石らしい。ミュンヘンで仕入れた地図や時刻表を見ると、途中のホルツマーデンで専用バスを降りて、タクシーにのればたぶん行けそうだ。ちょうど近くに鉄道も走っているので、シュツットガルトへもなんとか行ける。
 専用バスに乗り込み、添乗員の湯山さんがバスの運転手にその博物館のことを尋ねると、どうも運転手さんがよく知っている博物館らしい。しかも通り道のアウトバーンを出てすぐ近くらしく、そこまで行ってくれるという。結局、運転手と参加者の好意で、ハーフ博物館へ行くことになった。ただし時間は30分と決められた。少し短いが、しかたがないことだろう。

▲ハーフ博物館
▲戻る
▼次へ

■三代にわたって基礎を築いた博物館

 ハーフ博物館はホルツマーデンの郊外にあった。こじんまりとしているが、駐車場が広くてアクセスしやすい新しい博物館だ。玄関をくぐるとミュージアムショップを兼ねた受付があった。化石や図書などがずらりと並んでいる。さっそく、入場券を買って展示を見ることにする。
 パンフレットによると、この博物館はホルツマーデンの化石を研究したロルフ・ベルンハルド・ハーフ博士が館長をしている私立の博物館だ。この方の祖父が石油をもとめて、ここへ来たらしい。結局石油は出てこなかったが、そのかわりにこのホルツマーデンの頁岩を石材として利用することを考えたらしい。二代目のベルンハルト・ハーフが事業を引き継いで、ここから産する化石を掘り出して研究したという。彼はこれが認められてチュ−ビンゲン大学の名誉博士号を得ることになった。三代目の現館長も引き続いて化石を収集し研究して、ついに1971年、現在の博物館がオープンした。

▲作業場の様子
▲戻る
▼次へ

■ダイナミックな地層と化石の展示

 展示は大きく2つに分かれている。一つは化石をケースや壁面に分類して展示したものだ。すべて、ここから産したすばらしく保存のよい標本だ。長さ5mもあるような魚竜やウミユリの大きな化石が印象に残る。もう一つは地層の積み重なりを再現して、それらの“地層”面の一つ一つにあたかも産出したばかりの姿で代表的な化石が配置されているという展示だ。“地層”の厚さは5mほどで、一番下の“地層”はおそらく長さ20mぐらいあるように思う。吹抜けの空間を利用し、展示の両サイドに階段があって下からも上からも見ることができる。地層についている化石は数cmのアンモナイトから2〜3mもあるような魚竜やワニ等まであり、大きな化石は2階からの方が全体像がよくわかるという具合いだ。これは思い切って規模を大きくしたことが成功の秘訣のような気がする。展示法としてたいへん参考になった。
 時間に追われて、十分見ることができないのが残念だった。ミュージアムショップで写真集と化石を購入して、シュツットガルトへ向かった。小さいながらも豊富な資料と個性的でしかもダイナミックな展示を見ることができた。もう一度訪れてみたい博物館である。

▲切り出した地層を展示
▲目次へもどる