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■ドイツ博物館−巨大な機械が轟音を響かせて動く−■


■技術者魂を奮い立たせる博物館

■技術職員でつくるジオラマ

■実物でみる技術史

■ミュンヘン市内の自然系博物館

■技術者魂を奮い立たせる博物館

 ミュンヘン市内をバスで回って概略をつかんだ後、イザール川の中州にあるドイツ博物館へ行く。イザール川はアルプス東部にあたるオーストリア国境域を源とし、ミュンヘン市内を北流してドナウ川に合流する川だ。この川の水を市内においても飲むことができるという。また夏には日光を浴びる人々で賑わうらしい。
 入口は土曜日のためか、入場券を買い求める人々でにぎわっている。しばらく待つと、愛想のいい初老の方が現れた。以前ベンツ社に勤めていたエンジニア出身の方だという。この方からドイツ博物館の概要と主に交通関係の展示を紹介してもらった。
 ドイツ博物館は1903年、オスカー・フォン・ミラーという技術者によって創設された理工系博物館である。当時技術者が少なく地位も低かったため、技術者の地位向上を一つの目標としてこの博物館をつくったらしい。しかし、博物館は芸術作品を展示するところだという一般の先入観があり、この博物館内にも彫刻などがかなり展示されているという。今でもヨーロッパの芸術系博物館連盟と科学技術系博物館連盟とを比べると、前者の方が地位が高いという。こういう競争意識が博物館を良くしているのかもしれない。現在この博物館はヨーロッパ最大規模を誇っている。

▲ドイツ博物館の外観
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■技術職員でつくるジオラマ

 午前中のみの公式訪問となっているため、さっそく展示を見る。正面には帆船が1階と地下との吹抜けの空間を利用して展示してある。船は半分に切取り、内部が見えるようになっている。ここから地下へもぐり、船の歴史を最初に見る。蒸気やエンジン・モーターを使った船などが時代順に並んでいる。ところどころ小規模のジオラマがあって、昔の造船所などのミニチュアがきれいに並べてある。これらのジオラマは100人いる技術職員ですべてつくってしまうという。ジオラマ内部の模型は精密に復元してあり、背景に奥行きがあってすばらしい。奥行きのある背景は、ジオラマ内部の壁面に角をつくらないよう工夫しているからだ。案内者によると、ジオラマ展示はこの博物館が最初に行ったという。船の他に、10000mの海底にもぐったバチスカーフ?や戦争中に開発されたUボートも展示してあった。

▲展示室内の様子
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■実物でみる技術史

  次に蒸気機関を見る。産業革命を切り開いた巨大な蒸気機関がきれいに磨かれていくつも展示してある。驚いたのは、これらの巨大なピストン等がものすごい物音をたてて動くということだ。もちろん蒸気でなく実際は電気で動いているわけだが、迫力抜群である。これこそドイツの技術屋魂という感じがした。蒸気機関車もたくさん並んでいるが、これも同じように全館中に響くような大きな汽笛をならして動くようになっている。
 その他に車・飛行機などの交通機関を見学したが、第一号機にはじまって技術史に残るようなものはすべて展示してあるのだろう。見ることができたのは、おそらく全体の1/4ほどと思われるが、全体的に技術史に力を入れていることがよくわかる。このようにドイツ博物館はフランスのラ・ビレットと異なり、最先端の科学技術の紹介よりも過去の遺産を系統的に収集し展示している。ドイツの堅実さを見るような気がした。

▲動く蒸気機関
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■ミュンヘン市内の自然系博物館

 午後は自由行動日となり、ミュンヘン市内の自然史系博物館を訪ねたが、鉱物博物館が開館しているのみで、お目当ての応用地質博物館や古生物博物館は休館だった。大学付属のため、土日が休館になってしまうのだろう。

▲休館中の古生物博物館
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