「五彩麒麟瑞獣文輪花形盤」  明代後期(16世紀後半〜17世紀前半) 景徳鎮官窯 高さ11.3p 口径35.3p
 中国明代後期にあたる萬暦年間(1573〜1619)には、景徳鎮窯では、青花(染付)とともに、先の嘉靖年間(1522〜1554)に盛んになった五彩(赤絵)の焼造が増大する。萬暦も早い頃には、評価の高い嘉靖の絢爛な作風を継承したが、後期に入って政情が悪化すると、官窯から民窯へと基盤が移行し、民間風の躍動感に富んだ繁辱な作風に転換していった。日本では、初期の整美な作風よりも、かえってこの末期的な作風が好まれ、萬暦赤絵と称されて珍重されている。
 本作品は、この時期の作風を端的に表すもので、麒麟、虎、牛、馬、兎などの瑞獣や松竹梅などの吉祥文が、多彩色をもって器面にぎっしりと散りばめられている。器底裏には「大明萬暦年製」の記銘があり、萬暦赤絵の優品として特筆される逸品である。