鈴木芙蓉 「天保九如図」  絹本著色 102.2×34.5p 軸装一幅
 天保九如は、山、阜、岡、陵、川、月、日、南山、松柏の九つの瑞祥を描き込む中国思想に基づいた吉祥画題である。
 ここに展開する芙蓉の画風の基本スタイルは、江戸南画と呼ばれる漢画と南画との折衷様式である。絵手本からの模倣を繰り返し硬直していた狩野派の作風を、新たに中国より流入した長崎派などの写実派や穏和な南画様式を取り入れ、旧弊からの脱却を図ろうとしている。濃密な彩色の青緑山水も新漢画派とも呼ばれた江戸南画の特徴のひとつである。