「南北諸子人物画冊」  明治27年(1894)〜大正3年(1914) 絹本著色他 29.0×22.3p他 24面
 人物画を集めた画冊で、南北とあるように、富岡鉄斎や奥原晴湖、野口小蘋といった南画系の作家と、橋本雅邦、菱田春草といった北画系の作家が混在して構成されている。その重きは南画系作家に置かれ、これに今尾景年、谷口香キョウ、上村松園など京都画壇の作家が加わっており、この傾向は、当時の飯田の美術傾向を代弁しているともいえる。現に本画冊末尾の菱田春草の作品は、岩崎新太郎氏が気乗りのないところを春草自身が頼み込んで描いたというエピソードも伝わっている。
富岡鉄斎「能因故事」
橋本雅邦「旅僧観桜」