土佐光清 「義家公泰平図」  絹本著色 116.4×50.6 軸装一幅
  土佐光清(1805〜1868)は、幕末に活躍した土佐派の画家で、土佐派の伝統であるやまと絵を、鎌倉・平安の時代に遡って研究した人物として知られる。
 本図は、前九年・後三年の役に武勇の名を馳せた平安後期の武人源義家を描く。義家像は、その武功や出世の順調さから、節句などに掲げられる武運長久・立身出世を祈願する画題として、特にやまと絵の吉祥画として描かれた。伝統に回帰した堅実な作風を持つ本図は、正系のやまと絵に立脚しながらも、洗練された気風を備えた優美な色彩で描かれ、武者絵でありながらも明瞭で典雅な人物像を示している。