竹内栖鳳 「秋雨晩鴉図」  大正元年(1912) 絹本墨画淡彩 110.4×41.5p 軸装一幅
  動物画に高い評価を受けた栖鳳は、中でも鴉を多く題材に取り入れている。鴉を題材にした作品には、叙情的なものが多く、栖鳳の動物画の中でも特筆されるべき位置にあるといえる。
 本図は、秋雨の中、柿の枝にたたずむ一羽の鴉を描くもので、墨色を重ねただけの表現で見事に情緒を表現している。図様は、与謝蕪村「鴉図」(北村美術館蔵)を想起させ、栖鳳が新しい技法のみならず、過去の名作にも研究の眼を向けていたことがうかがえる。