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松尾城跡


1.所在地 飯田市松尾代田
2.城館の概要

長野県史跡(1972年指定)。中位段丘の、毛賀沢川とその支流北の沢に画された岬状の段丘崖に立地する。主郭・二の郭・三の郭などからなる。築城年代は明らかでないが、『伊那温知集』などには小笠原長清が鎌倉時代の初めに築いたとあり、異説に長清の孫長忠であるとも言う。いずれにせよ南北朝時代小笠原貞宗がこの城に居たことは確実である。以後小笠原氏はこの城に拠って威を振い、後には武田氏・徳川氏に従う。1590(天正18)年に小笠原信嶺が武蔵本庄に転封され廃城となった。

3.調査
  • 年次     1980・81年
  • 調査主体   飯田市教育委員会
  • 調査原因   公園整備
4.調査の概要

主郭の発掘が行われ、櫓とみられる建物址、城の中核とみられる大きな建物址、数次の建て替えのあった建物址が調査された。また、郭の中央部に酒宴の場と思われる遺構も確認された。遺物は青磁碗・天目茶碗・小皿・擂鉢・甕、内耳土器・かわらけ、風炉、銭貨、石臼などであり、15世紀後半から16世紀代のものが多い。

5.遺物の保管 飯田市教育委員会
6.文献

市村咸人 1923 「松尾城址」 『史蹟名勝天然紀念物調査報告』第1輯
市村咸人 1926 「松尾城址(補遺)」 『史蹟名勝天然紀念物調査報告』第5輯
大沢和夫 1965 「松尾城址 飯田市松尾」 『伊那』1965-12
大沢和夫 1983 「松尾城はいつできたか」 『伊那』1983-9
佐藤甦信 1990 「口絵 松尾城本曲輪の遺構」 『伊那』1990-11
石川正臣 1991 「松尾城址」 『伊那』1991-11
飯田市松尾公民館 1991 『中世松尾城と城主小笠原氏』 
飯田市松尾公民館・松尾の文化財を考える会 1993 『松尾の史跡と文化財』 
赤羽二三男 2004 「信濃守護小笠原氏の松尾城と関係館の地名について」 『松生』第18号


遠望
遠望
主郭の礎石建物
主郭の礎石建物

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