五輪塔は全高121センチで、上から順に、大空輪形の空輪・半月形の風輪・三角形の火輪・満月形の水輪・方形の地輪よりなり、五輪の面にそれぞれ梵字が刻まれている。これを納める石室の天井には文字が刻まれ、弘安6年(1283)12月29日、神(みわ)敦幸(知久敦幸)が南都の石工菅原行長に造らせたと書かれている。ともに花崗岩製。
五輪塔は形が優れ、石室内にあった関係で創建当時のままに鎌倉時代の様式をよく伝えていて貴重である。さらに例の少ない石室を伴い、鎌倉時代の銘文が刻まれている点で、その史的価値は大変高い。