企画展準備日誌 その15 タカネマンテマ
企画展 高山植物と高山昆虫からたどる
南アルプス博物学の120年
会期:2025年6月7日(土)〜8月31日(日)
タカネマンテマは日本では南アルプスの限られた場所にだけ生える希少種で、世界的には周北極要素の植物です。
この植物を日本で初めて発見したのは、下伊那郡喬木村阿島出身の岡田邦松です。岡田は長野県内で教職につきながら、矢澤米三郎や河野齢蔵とともに高山帯の学術調査を積極的に行っていました。
1914年(大正3)7月下旬に、大鹿村から塩見岳に登った時に山頂付近でタカネマンテマを発見しました。その後、牧野富太郎によりMelandrium apetalum (L.) Fenzl f. okadae Makino* の名で南アルプス固有の品種として記載され、品種名は岡田に献名されました。
*この品種名は現在使われていません。
飯田市美術博物館には、同じ時代に活躍した前澤政雄の資料が寄贈されています。
上の写真はその中の1点です。
前澤の著書「赤石嶽より」の中に書かれていた文章などから、この写真はタカネマンテマ発見の日の朝の野営地(中俣)であることがわかりました。
左の方に立っているのが岡田邦松で、その右横で準備しているのが河野齢蔵だと思われます。
写真をよく見ると、捕虫網もちゃんと写っていますね。
【今日の展示室】
90☓200cmの、展示室入り口に立てるパネルを打ち出して設置しました。
毎日、少しずつ前進している感じはあります。
完成にはまだ遠いですが…。
ブログ 今日の美博