企画展準備日誌 その14 ウチジロナミシャク

企画展 高山植物と高山昆虫からたどる
南アルプス博物学の120年

会期:2025年6月7日(土)〜8月31日(日)

ウチジロナミシャクは、北アルプスや八ヶ岳ではわりと見かけるシャクガですが、南アルプスでは個体数が少なく、しかも南部でしか見つかっていません。


▲ライトトラップに飛来した成虫(南アルプス茶臼岳)

古い文献の中ではウチジロナミシャクとアルプスナカジロナミシャクが混同されていて、ウチジロナミシャクは南アルプス全域に分布しているように見えます。

しかし、あらためて記録を整理しなおしてみると、全域で見られるのはアルプスナカジロナミシャクで、ウチジロナミシャクは赤石岳大聖寺平より南でしか見つかっていないことがわかりました。

現地踏査でも、茶臼岳と上河内岳で生息を確認できましたが、他の場所では見つけることができていません。

以前紹介したタカネツトガが聖岳から北にしか分布していないように、ウチジロナミシャクは赤石岳より南にしか分布していないようです。
面白いですね。

【今日の展示室】
県内の博物館で、企画展で展示する資料を借用してきました。
大正から昭和初期に採集された高山植物や高山昆虫の標本です。
どれも非常に保存状態が良くて、標本はちゃんと保存すれば、100年という時間を濃縮し容易に過去を再現できるすごいものだと再認識しました。

四方圭一郎

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