企画展準備日誌 その8 三伏峠の100年間の変化

企画展 高山植物と高山昆虫からたどる
南アルプス博物学の120年

会期:2025年6月7日(土)〜8月31日(日)

下の2枚の写真は、撮影角度が少し違いますが、三伏峠のほぼ同じ場所を写したものです。
1枚目の写真は撮影年がはっきりしませんが、大正から昭和初期の100年ほど前に撮影されたものと思われます。

写真を見比べてみると、崩壊の進行により地形は若干変化していますが、ダケカンバやハイマツの群落などはほぼ同じです。
人間の影響を受けていない自然環境は、わずか100年程度ではほとんど変わらないことがわかります。

逆に考えると人間活動が環境に与える影響の大きさを、改めて実感させられます。
私達の身の回りを見ると、川も林も農地も道も家も、この100年間でかつての面影がないほど変化してしまいました。

 

100年間変化なく保たれてきた南アルプスの高山帯ですが、この20年ほどの間にものすごく大きな変化が生じています。
ニホンジカによる植生への影響です。


▲人が少ない場所では日中でもニホンジカの姿が見られる(米山富和氏撮影)

高山植物が咲き乱れたお花畑が、見るも無惨に食べ尽くされています。
南アルプスでのニホンジカの影響は、別の機会に詳しく紹介したいと思います。

四方圭一郎

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