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■恵那山〜清内路峠1(清内路峠〜富士見台) | |||||
恵那山神社から前宮ルートを登り、恵那山の山頂小屋で一泊した。2日目は御坂峠への尾根をたどり、富士見台から南沢山、そして清内路トンネルまで歩いた。 南沢山から大島原の三等三角点を経由して清内路峠にでる予定であったが、ササが深くて途中で沢に下りてしまった。稗畑へ下りる登山道をそれてからは、頭まですっぽり埋もれるほどのササの海がつづくので、時間を十分とって挑戦してほしい。 コースが長いので恵那山−富士見台(二回目)、富士見台−清内路峠(一回目)に分ける。今回も、実際の歩行とは逆に、北から南へとたどることにする。 |
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清内路峠の西に大島原の三等三角点がある。この付近は、稜線が広がって平らな地形となっている。大島原という名前がぴったりなところだ。残念ながら、今回はたどり着けなかった。 南沢山から富士見台にかけては、白亜紀末の巨大火山から噴出した火砕流堆積物がおおっている。溶結凝灰岩を主体とする岩石で、総称して濃飛流紋岩類と呼んでいる。火砕流は雲仙の噴火で知れわたったが、このときは規模が小さかったため堆積物としてはほとんど残っていない。ところが、濃飛流紋岩類はこの付近を南限として飛騨地方を中心に広い範囲に分布している。溶結凝灰岩とは、流れ出した火砕流自身のもつ熱で硬く溶結した凝灰岩だ。そのため、花崗岩よりも風化に強く、このあたりでは尾根部をつくっている。 溶結凝灰岩ができた後、地下でマグマが固まり花崗岩ができる。溶結凝灰岩に近いところでは、貫入岩のような斑晶がめだつ花崗岩ができる。転石を見ながら、過去の出来事を想像するのも面白い。 |
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南沢山から横川山をへて富士見台までは、ゆるやかな稜線がつづく。稜線は偏形樹となった灌木とササ原、東斜面はカラマツ林となっている。西斜面には針広混交林の自然林が残っている。 かつて中津川から南沢山をへて清内路へ向かう清内路道と呼ばれる道があった。西の中津川側には、うっそうとした自然林の中に、今でも古い石畳が残っているという。古文書によると、この道は江戸時代中期には通行禁止となっていて、古道復活の嘆願書が出されていたという。このことから、かなり古い時代から利用されていたことが分かる。 |
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南沢山から富士見台にかけての稜線は、西斜面が急で、東斜面は緩やかとなっている。東斜面は、残雪期になるとスノーシューでどこでも歩くことができる。 横川山の北の東斜面には溶結凝灰岩の崩壊地ができている。花崗岩のように風化していないせいか、傾斜は急だ。崩壊地の頭をみると、その周囲にだけササが枯れている。土壌が乾燥化したためにササが枯れてしまったのだろう。 この崩壊は下部の方まで急傾斜となっているので、今後拡大しそうな感じがする。 |
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横川山には二等三角点が埋められていて、周囲の展望が大変良い。北を向くと、緩やかな南沢山と中央アルプスの山々や南木曽岳が見える。南には富士見台へつづく丸い山々と、恵那山が大きく見える。どちらも、稜線は丸くてササが生い茂り、その中を一筋の道が続いている。 周囲をみると、植林されたカラマツが大きくなれず、西風によって枝や先端が東へなびいている。冬季はけっこう風が強いのだろう。 |
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富士見台北斜面の山腹をまくようになると、横川の名水がでてくる。この名水は、園原で本谷川に合流する横川川の源流に現れたものだ。 きれいな水は、濃飛流紋岩の大きな礫のすき間から流れ出て、苔むした礫の中を流れていく。 稜線歩きをしながら、こんな名水が得られるのはたいへんうれしい。
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富士見台の北斜面をまく道は、ほとんど水平だ。ところどころ、はしごのように丸太が横に並んでいる。これは木馬道の跡だ。伐採した木材を、木馬と呼ばれる大型のそりにつんで、この道に沿って下ろしたわけだ。 すでに丸太は腐りかけているが、それほど古そうに見えない。この付近の森を伐採したときにつくったものだろう。 |
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富士見台のすぐ北側には、小さな池や湿地がある。周囲を見ると、窪みが北東−南西方向につながっているので、線状凹地にできていることが分かる。 線状凹地は、一般に地下に正断層(すべり面)が続いていて、断層を挟んだ一方の山がずり下がっている地形だ。つまり、線状凹地は、山が解体していく際に見られる地形の一つだ。 富士見台の西側の谷には、岩屑が堆積したゆるやかな斜面が見られる。溶結凝灰岩でできた富士見台はときどき大崩壊しているようだ。 |
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富士見台は高原状の気持ちの良いところだ。稜線付近は灌木混じりの背の低いササが茂っている。ササや樹木が大きくなれないのは、冬季の季節風が強いせいだろう。雪が風に飛ばされて、雪面から顔を出した部分が凍害で枯れてしまうからかも知れない。 東斜面では、樹林とササ原との境界線がある。温暖化がすすめば、この境界線は上昇するのだろうか。 |
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