「五彩麒麟文盤」  明代末期(17世紀前半) ショウ州窯 高さ9.5p 口径37.9p
 古くより明末の中国陶磁として珍重されたもののひとつに、呉州赤絵と呼ばれる五彩がある。これはベンガラに熔剤を加えた酸化第二鉄を釉薬とした、赤色が基盤となっている磁器で、奔放な絵付けと力感のある色彩に特徴がある。これまで、明時代の焼造でありながら景徳鎮窯の出土がなく、生産地が不明であったが、近年の発掘成果により、福建省南部のショウ州窯の焼造であることが有力視されている。製造された時期については、萬暦年間(1573〜1619)末から天啓年間(1621〜1627)を中心とする頃と想定され、日本をはじめ、東南アジアや西アジアにも分布することから、広くアジア地域に輸出されたものと考えられている。
 本作品は、かなり図案化された麒麟文を中心に据えたやや大振りの皿で、呉須赤絵らしい発色の良い赤彩が主体となり、これに緑彩が加わった力強い作風を示している。