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松尾城遺跡(推定松尾館)


1.所在地 飯田市松尾城
2.城館の概要

天竜川西岸の低位段丘の段丘崖に立地する。松尾館は、松尾城に本拠を移すまでの間、小笠原氏が伊賀良庄での居を置いたとされている。小笠原氏は源義光を始祖とする清和源氏で、甲斐国小笠原庄に拠を構えた長清を始祖とする。小笠原氏が松尾館を構えたのは、3代長忠が1202(建仁2)年に松尾館で生まれた(『勝山小笠原氏年表』)とあることから、これ以前であることは確実で、7代貞宗までこの館で生まれている。およその位置は推定されているが、特定されるに至っていない。
小笠原氏が氏神として祀った鳩ヶ嶺八幡宮南側を東流する祝井沢川が城地籍で南に折れ、その後鬼門除けの清見寺南側で再び東流しており、館の周囲を画する機能を付与したとも考えられる。

3.調査
  • 年次     1989(平成元)年
  • 調査主体   飯田市教育委員会
  • 調査原因   公民館建設
4.調査の概要

調査範囲の西端部で掘立柱建物址とこれに方向を揃える溝が調査されている。隣接地の試掘状況から、その西側は湿地になっていくと考えられ、遺構からは小笠原氏の居館を裏付ける所見は得られていない。しかし、青磁碗・天目茶碗・灰釉皿・擂鉢などの遺物が出土しており、特に福建省同安窯産の青磁碗は小笠原氏がこの地に在ったことを暗示する。他に、16世紀末〜17世紀初頭の方形竪穴が調査されている。

5.遺物の保管 飯田市教育委員会
6.文献

飯田市教育委員会 1991 『城遺跡』


遠望
遠望
掘立柱建物跡
掘立柱建物跡
出土遺物
出土遺物

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